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河童の妙薬(久下地域)

更新日:2017年12月15日

むかし、熊谷宿のある商家に、だんなさんに死なれたばかりのおかみさんがおりまして、毎日、毎日とても悲しんでおりました。
ある夜のことです。おかみさんがかわやに入り、小用をしようとしていると、何やら自分のお尻を触るのです。
「おかしいな?」
と思っていると、次の夜も、また次の夜もそうなのです。
怒ったおかみさんはさらに次の夜、短刀で自分のお尻を触るものを切り落としてしまったのです。
大きな悲鳴とともにおかみさんの手に残ったものは、黒い毛むくじゃらの右腕でした。
よく日、おかみさんの店に、黒い不思議な老人がやってきて、おかみさんに会いたいと言うのです。
そこでおかみさんが会ってみると、右腕をかくした老人は、きのうこの家でめずらしい物を手に入れたそうだが、ぜひそれを私にゆずってほしいと言うのです。
目の前の老人の仕業だと思い当たったおかみさんは、今後あんないたずらはしないと約束させたうえで、腕を返してやりました。
すると老人は、持ってきた薬をぬって腕をくっつけると、あら不思議、その腕はなんともなかったように自由に動くのです。
それから老人は、自分が河童であることを名乗り、おわびのしるしとして、その薬の作り方を教えました。
それが「河童の妙薬」としてひろまり、飛ぶように売れて、おかみさんは大金持ちになり、幸せに暮らしたということです。
『熊谷市史』「ふるさとのはなし」より

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