伝染性紅斑(りんご病)について
更新日:2024年12月9日
伝染性紅斑とは
伝染性紅斑は、両頬に現れる境界鮮明な紅い発疹を特徴とするヒトパルボウイルスB19を原因とする感染症です。りんごのように頬が赤くなることから、「りんご(ほっぺ)病」ともよばれます。
例年冬から初夏にかけて報告数が増加し、幼児期に多くみられますが、乳児や成人でもかかることがあります。
感染経路
ヒトパルボウイルスB19に感染した人の咳やくしゃみを吸い込むことによって感染する場合(飛沫感染)と、ウイルスのついた手を介して口や鼻などの粘膜から感染する場合(接触感染)があります。
ウイルスの感染力はかぜ様症状が現れる時期(発疹の出現前)が最も強く、発疹が出現した時にはほぼなくなります。このウイルスは人にのみ感染します。
症状
ヒトパルボウイルスB19に感染して通常4-14日(21日程度になる場合もある)の潜伏期間の後、頬(ほお)に紅色の発疹が現れます。
それから数日して、手足や体幹部に「網目状・レース状」などと表現される発疹がひろがり、1週間から10日程度の経過で消失します。発疹はかゆみを伴うことがあります。
発疹が現れる数日前に、発熱、鼻水、頭痛などのかぜ様症状がみられますが、感染力は発疹出現前のこの頃に最も強くなります。
加えて、成人では手首や足首、膝などの関節痛を伴うことがあります。
また、妊婦では胎児水腫や流産を、溶血性貧血の患者では汎血球減少をおこすことがあります。
診断について
伝染性紅斑に特徴的な、頬や手足・体幹の発疹から診断されます。
成人では典型的な皮膚の症状が現れないことも多く、血液検査でヒトパルボウイルスB19に対する抗体の上昇を確認することで診断が行われる場合があります。
治療について
伝染性紅斑に対する特別な治療法はありません。発熱や関節痛、皮膚のかゆみなどへの対症療法が行われることがあります。
伝染性紅斑の予防のポイント
伝染性紅斑のワクチンはなく、予防には手洗いやうがい等の基本的な感染予防対策をしっかり行うことが大切です。
マスクの着用等普段からの咳エチケットの励行
飛沫感染を防ぐため、普段からマスクの着用等咳エチケット((1)咳やくしゃみを他の人に向けて発しないこと、(2)マスクをしない状態で咳やくしゃみが出るときはハンカチなどで口を覆うこと、(3)手のひらで咳やくしゃみを受け止めた時はすぐに手を洗うこと等)を守ることを心掛けましょう。
外出後の手洗い等
接触感染を防ぐには、手指などに付いたウイルスを流水・石けんによる手洗いで物理的に取り除くことが有効です。なお、アルコールによる消毒効果は弱いとされています。
妊娠期間における患者との接触の回避
妊娠中あるいは妊娠をしている可能性がある人は、伝染性紅斑の患者や、風邪の症状がみられる方との接触をできる限り避けるよう注意してください。
伝染性紅斑が疑われる場合は
- 周りへの感染に気を付けましょう。
- 症状によっては、早めに医療機関を受診しましょう。
- 伝染性紅斑に特別な治療法はありません。症状に応じた対症療法を行うことになります。
関連情報
伝染性紅斑の流行情報(埼玉県感染症情報センター)(外部サイト)
