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新しいうつ病の治療方法について

更新日:2022年5月1日

 意欲の低下や気分の落ち込み、不眠など多彩な症状をもたらす「うつ病」は、精神科の扱う病気の中でも認知度が認知症と並んで高い病気です。日本でも多くの方が、治療を受けている、または悩まれています。

 それに対して、多くの精神科や心療内科などでは、これまで薬での治療や面接での治療を行ってまいりました。今回ご紹介するのは、反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)療法という2019年に保険適用となった治療法です。薬による症状のコントロールが難しい患者さんにとって、新たな治療の選択肢になります。

 規則的な刺激を連続して行うことができる治療法で、磁気エネルギーを使って脳内の神経細胞を働かせることが期待できます。この治療法は、うつ病によって脳本来の機能が低下している部位には興奮性の刺激を送り、過活動になっている脳部位には抑制性の刺激を送ることが可能です。

 対象となるのは、「1剤以上の抗うつ薬の至適用量を十分な期間服用しても効果が認められない成人の患者さん」、「抗うつ薬による副作用が顕著で十分な薬物療法が継続できない成人の患者さん」などで、全ての患者さんに当てはまるわけではありません。また、インプラントや金属などを頭部に植え込んでいる患者さん、心臓のペースメーカーを植え込んである患者さんも、この治療を受けることはできません。

 この治療法では、頭痛や刺激部位の疼痛(とうつう)・不快感、けいれん発作などの副作用が見られることがあります。また、「薬のいらない治療」と誤解されることもありますが、薬の副作用が強い場合を除いては、服薬していただきながらの治療となります。

 保険診療が可能になったことで、適切な施行が求められており、週5日で6週間の合計30回が基本となっています。うつ病の患者さんがそれだけの治療を通院で受けることも難しい場合もあります。また、保険適応がなされて間もないこともあり、保険診療で実施している医療機関はわずかです。ただし、先に挙げたような状態で苦しんでいらっしゃる患者さんにとっては、有効である場合もあり、主治医の先生にご相談いただくことをお勧めいたします。

熊谷市医師会 渡邊 貴文(わたなべ たかふみ)

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