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「特定妊婦」という言葉を聞いたことありますか?

更新日:2024年5月1日

 児童福祉法では、「出産後の養育について、出産前において支援を行うことが特に必要と認められる妊婦」と定義されています。収入基盤が安定せず、貧困状態にある、知的・精神的障害などで育児困難が予測される、DVや若年妊娠など様々な複合した問題を抱えている場合が多いです。
 特定妊婦の登録者数は、ここ10年で8倍の8,000人以上に急増しており、保健師による家庭訪問などの支援対象になっています。しかし、行政が把握できていない人たちも多数おり、自宅出産、未受診飛び込み出産など、母児の命の危険性をはらんでいます。「未受診妊婦はハイリスク!」産科の世界では常識です。
 妊娠初期に、15パーセントの妊婦さんが流産になり、100人に1人が子宮外妊娠となります。命を落とした中学生もいます。産科の専門家がいる中で出産しても12年間で約3,000人の脳性麻痺児が生まれ、産科医療保障制度のお世話になっています。
 ほとんどの特定妊婦さんの頭をよぎるのは、『妊娠』➡『困った』➡『赤ちゃんポストへ』という思考過程です。「ひとりで産むつもりだった」とか「産んだら赤ちゃんポストにおいてくるつもりだった」という言葉を、外来に来た特定妊婦さんから聞くことが度々ありますが、ひとりで家で産む危険性をもっとみんなで広報する必要があります。

 赤ちゃんポストに預けられた子どもの半数以上が、母子の生命に危険が及ぶおそれがある自宅などでの「孤立出産」で産まれています。とにかく、まず病院で産む、そのためにはどうしたらいいか、社会全体で考え、体制を整えていく必要があると思います。
 出生数75万人と過去最低を更新しつつある現状で、子ども虐待による死亡事例は、毎年70から80人で推移しています。特に、1度も病院で受診しないまま虐待死を起こしているケースが、毎年10パーセントあります。
 わたしたちは、「未成年で生理が来なくて悩んでいる場合は、保険証なし、親に内緒でもいい、無料で見るからクリニックに来なさい」という運動を始め、緊急避妊ピルも無料で渡しています。
 ママが自分の赤ちゃんを殺めて犯罪者になる、こんな理不尽なことを防ぎたいと切に思っています。特定妊婦を作らないように、みんなで考え、行動していきましょう。

熊谷市医師会 鮫島 浩二(さめじま こうじ)

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