春先のパンダにご用心! ~花粉皮膚炎~
更新日:2025年3月1日
寒さの厳しい熊谷でも春の足音が聞こえる季節になってきました。この季節に気になるのは何といっても花粉症ではないでしょうか。現代では3人に1人が花粉症といわれています。卒業・入学などのイベントはもちろん、旅行やお花見を楽しむのにも憂鬱な気分になる方もいるでしょう。
皆さんがよく知っている花粉症の症状といえば、くしゃみ、鼻水、目のかゆみなどですね。実は、この時期の肌荒れも花粉が原因のことがあり「花粉皮膚炎」といいます。
スギ花粉の飛散時期である2月~4月にあわせて顔、首などの服に覆われていない部分にかゆみを伴った赤いかさかさが出るのが花粉皮膚炎の主な症状です。これらの皮膚炎は、鼻や目の症状がない人でも現れることがあります。なかでも、上まぶたに代表される目の周りは皮膚が薄く、目をこする動作も加わって特に悪化しやすいため「目の周りだけが赤くなって動物園のパンダみたいで困っています」とご相談いただくことが多いです。
花粉皮膚炎の治療はステロイドなどの外用療法が主になります。症状のある部位やかゆみの度合いにより使用する薬が異なります。顔は短期間で治療効果が出やすいですが、途中で中断すると症状が再発することもありますので医師の指示を守り安全に正しく塗り薬を使用しましょう。
花粉皮膚炎では予防と対策が大切です。原因は肌に直接つく花粉ですので、外出時は花粉が直接肌につかないよう帽子、マスク、眼鏡などを着用し肌を覆って予防しましょう。化粧下地やパウダーなどのベースメークや、目の縁や鼻孔の周りなど部分的に油脂性
また普段のスキンケアは大事な対策です。寒く湿度の低い冬を過ごしたこの時期の肌は乾燥し、花粉成分が侵入しやすいデリケートな肌になっています。外出から帰ったら洗顔料を使って花粉や汚れを洗い流し、5~10分以内に適度な水分と保湿をするようにしましょう。
春先のこの時期に鏡の中の自分の顔を見て「あれ?パンダみたい?」と思ったら、花粉皮膚炎の可能性を考え病院で相談してみま
しょう。
熊谷市医師会 北川 真希(きたかわ まき)
