子宮頸がんは予防できる癌(がん)です
更新日:2025年1月1日
子宮頸がんは、日本での患者数は年間約1.1万人、それによる死亡者は約2,900人です。20代から30代の妊娠・子育て世代の若い女性に起こるがんなので、「マザーキラー」という怖い呼び名もついています。ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染で引き起こされるがんのため、予防接種で防ぐことが可能です。
日本において、子宮頸がんワクチンは平成25年4月から定期予防接種になりましたが、接種後に広い範囲に広がる痛みや手足の動かしにくさなどの多様な症状が現れたことで、平成25年6月から積極的な勧奨を一時的に差し控えていました。調査研究の結果、これらの症状はワクチンとの因果関係は証明されず、ワクチンの接種歴のない人にも同様の症状を持つ人がいることも明らかになりました。現在では、「子宮頸がんワクチン接種後の痛みや不安などがこれらの症状を起こすきっかけになったことは否定できないが、接種後1か月以上たってから発症している例などは、接種との因果関係を疑う根拠に乏しい」と評価されています。これを受け、令和4年4月から子宮頸がんワクチンの接種勧奨が再開され、接種を勧める内容の文書や無料券となる予診票が個別に送られてくるようになりました。小学校6年生から高校1年生相当の女子が、定期予防接種の対象です。これらのお年頃は「予防接種は痛そうで怖いな、でも我慢しないと」と強い緊張感のなか接種することが多く見受けられます。接種直後にその緊張がふっと緩むことで目の前が暗くなったりふらついたりすることもあるので、接種後は急に立ち上がったりせず、座って様子を見るようにしましょう。
令和5年4月からはHPVの9種類の型に対して免疫をつける9価HPVワクチンが接種できるようになり、子宮頸がんの予防率は80〜90%となりました。さらにこのワクチンは14歳までに1回目を打てば2回接種で完了できるという特徴もあります。痛い思いをするのが1回減らせるのも朗報ですね。ちなみにワクチンで予防できない型も一部あるので、子宮頸がんワクチンを受けても、成人になったら子宮頸がん検診を受けるのを忘れないようにしてください。
熊谷市医師会 鈴木 由紀恵(すずき ゆきえ)
