学校薬剤師はどうして必要なの?
更新日:2022年4月1日
昭和5年、小樽市の小学校においてお薬の誤飲により女子児童が亡くなるという痛ましい事件が起きました。保健室などにいろいろなお薬を保管しているのだから薬の専門家を置くべきだという声が高まり、学校に薬剤師を配置することになりました。
当初は、薬品類の使用・保管等に関する職務でしたが、昭和33年より、学校環境衛生(換気、採光、照明等)の指導・助言、平成21年からは、健康相談、保健指導にも従事しております。学校環境衛生としては、(1)教室等の環境、(2)飲料水等の水質および施設・設備、(3)学校の清潔、ネズミ、衛生害虫等および教室等の備品の管理、(4)水泳プール等の検査を実施しています。
例えば、授業中に児童生徒等の呼気で二酸化炭素の濃度が上がりますが、もしもそこにインフルエンザ、コロナ等のウイルスが放出されると教室全員に感染のリスクも負わせてしまいます。このようなことからも教室の換気の大切さが理解できます。
照度面では、明るすぎたり暗すぎたり、黒板とノート等を交互に見続ける際の照度差や視界にまぶしさを発する光源があれば、目への負担は大きくなります。
騒音においては、教師の声の音量を基準に一定の音量(この差がないと教師の声が聞きにくくなる)を確保できているか、外からの大きな音で授業を妨げるものはないかなどの検査をしております。
飲料水の検査も重要です。施設の老朽化等で配管に異常が生じることもあります。また、生徒数の減少で水の使用量が極端に少なくなった場合には受水槽の容量が適切かどうかなどの検討も必要になってきます。水泳プールでは、施設設備の維持管理はもちろん、水質の管理も重要です。平成24年度から中学校保健体育で「医薬品の正しい使い方」の学習が組み込まれました。生涯を通して薬と無縁で過ごす事はできません。正しく使えばお薬ですが、誤った使い方をすれば害を及ぼすこともあります。薬の専門家である薬剤師と教師とがチームを組んで薬教育に取り組んでいます。
近年、コロナ禍において学校内での感染が少しでも防げるよう、消毒の方法や換気の助言・指導なども行っております。今後も児童生徒の皆さんが安心して勉学に励めるよう、学校の先生方、学校医、学校薬剤師が協力して学校の環境を整えるよう頑張っていきます。 熊谷薬剤師会 杉田 幸恵(すぎた ゆきえ)