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抗菌薬のお話

更新日:2022年12月1日

 抗菌薬とは、細菌を壊したり増えるのを抑えたりする薬のことを指します。その中でも微生物から作った化学物質を「抗生物質」または「抗生剤」とも言うことがあります。 抗菌薬は細菌の構造や増えていく仕組みのどこかを邪魔して効果を発揮します。例えば、代表的な抗菌薬であるペニシリンは、細菌の細胞壁の合成を邪魔します。ヒトの細胞には細胞壁がありませんので、ペニシリンはヒトの細胞には影響を与えず、細菌のみを攻撃することができるのです。このように抗菌薬は細菌の仕組みを利用した薬ですので、細菌以外の病原体(ウイルスや真菌など)が原因となる感染症には効果を期待できません。

 抗菌薬の副作用で比較的多いのは下痢です。これは病原体だけではなく、腸内の環境を保っている腸内細菌(ビフィズス菌、乳酸菌など)も抗菌薬が攻撃してしまうためです。通常は抗菌薬を飲み終えると改善するのですが、過去にひどい下痢の経験があるようでしたらご相談ください。

 また、抗菌薬の一部には金属含有の薬やサプリメント等(鉄、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム等)と飲み合わせが良くない薬がありますので、服用中の方は事前に医師や薬剤師にご相談ください。

 抗菌薬には様々な種類があり、体のどこに起きた感染症なのか、どの菌によるものなのか、内臓機能(肝臓・腎臓等)の低下がないかなどを考慮して、最適な抗菌薬の投与量と日数を判断して処方されます。1回にまとめて服用または時間で均等に服用したほうが効果の良い薬など、それぞれ抗菌薬によって特性が異なります。また、症状が良くなったからといって服用を途中でやめてしまうと感染症がきちんと治らないばかりでなく、薬剤耐性菌を生じてしまうおそれがあるので、医師や薬剤師の説明に従って処方された用法・用量・服用日数を守りましょう。自己判断で残った薬を保管して後から飲むことは、思わぬ副作用が出てしまう可能性もありますので絶対にしないでください。

熊谷薬剤師会 岸 稔(きし みのる)

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