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両方の奥歯でお食事できていますか?

更新日:2022年6月1日

 今回は、両方の奥歯で噛(か)むことが重要であることをお話しします。

 もし痛い歯があればその歯を避けますが、痛みがないのに無意識に片方だけの奥歯で噛む「片方噛み」となると、その原因を考える必要があります。外傷などの原因で歯が移動したり抜けてしまった場合を除けば、はさまる、噛みにくいなどの症状は、今後のむし歯や歯周病の進行を暗示しているかもしれません。歯並びが影響して頬や舌を噛むから避けて反対の歯で噛むこともあるでしょう。健康な方は両方で咀嚼(そしゃく)しますから、片方噛みをしている方は、その原因を見つけるための精密な検査が必要です。

 ご自身だけでなく同居の方はいかがでしょうか。子どもの場合、歯並び、顎の骨そして顎関節などに成長の変化が生じる大事な時期です。頬づえや片方に偏った横向き寝などの癖が続けば、骨や関節の左右差が生じ、将来の片方噛みのリスクとなります。成人や高齢者の場合、歯科治療を中断したり歯が抜けたところをそのままにしておくと、歯の移動によって歯並びが悪くなります。そうなるとブラッシングが困難となったり、歯が抜けたところに噛み合っていた歯が伸びてきたりすることもあります。失われた噛み合わせの回復(補綴〈ほてつ〉)が難しくなりますから、速やかに治療を受けて両側で噛むことが大事です。

 咀嚼と嚥下(えんげ)に視野を広げると、上下の歯列は頬側と舌側の境界を作る大事な機能的な意義があります。もしこの境界がなければ、頬側にたまった食べ物の塊を繰り返し粉砕し、最後に舌に乗せて飲み込むことをスムーズに行えません。歯がないところを治療せずそのままにしている片方噛みは、お口の中に食べ残しが多くなることが分かっています。食べ残しが多くなると口の中の細菌が繁殖する危険性が増大してしまいます。両方の奥歯を使うことが、食べ残しがたまる機会を少なくして誤嚥性肺炎の予防にもなります。

 幼少期から継続して両方の奥歯で食事できていることは、健康寿命のためにとても大事なことなのです。

熊谷市歯科医師会 坂野 智三(さかの ともみ)

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