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皆さんは大丈夫?歯周病のここだけの話

更新日:2024年2月1日

 お口の中には、300から700種類の微生物が存在しています。歯磨き上手な人でも1,000から2,000個、ほとんど磨かない人では1兆個もの細菌がすみついています。
 細菌の集った状態(バイオフィルム)は強い病原性を持っており、これらが毒素や酵素を出して歯を支える骨が破壊されていく病気が歯周病です。
 歯周病は大昔から私たちを苦しめてきました。紀元前3000年頃の古代エジプト人のミイラにすでに歯周病が認められ、また紀元前の中国最古の医学書にも歯周病についての記載があります。しかし、紀元前3000年頃のメソポタミアの古墳から楊枝類が発見されていることからもわかるように、同時に歯周病の予防や治療に対する取り組みも行われてきたと考えられています。その後、医学の父といわれるヒポクラテス(紀元前460から335年)が歯周病の原因や症状について記述したり、17世紀にはレーウェンフックがプラーク(歯垢)の中に微生物を発見したりしていますが、微生物の感染と病気の発症との関係がきちんと突き止められ、予防と治療方法が体系化されたのは、意外にも1960年代になってからです。 

 進行した歯周病のイメージとしては、手のひらほどの表面積(50から72平方センチメートル)に大きな潰瘍があるような状態といわれています。そんな潰瘍がもしも胃の中にあったらどれほどの痛みでしょうか?
 日常生活に支障が出るくらい痛いのではないかと思うかたもおられるかもしれませんが、歯周病はSilent Disease(静かなる病気)とも言われ、「痛み」の症状がなかなか自覚しにくい病気なのです。
 「痛み」が出にくい歯周病は、症状が出やすいとされるむし歯と比べると安心されるかたもいるのでしょう。これは実は逆なのです。痛み症状が出にくいことで我慢をしてしまう人は歯周病の発見が遅れ、ついには歯が抜けてしまうことにもつながります。
 令和4年歯科疾患実態調査において、30歳以降の年齢でおおむね30パーセント以上のかたが歯周病を有しているという最新の統計データがあります。この数字を見ると少なく見ても4人に1人は歯周病を有しているということになります。
 『歯ぐきから出血が見られる』『歯が揺れてきている』『最近口臭が気になる』そんな症状も歯周病が関係していることがあります。少しでも気になるようでしたら、まずはかかりつけの歯医者さんでご自身のお口の状態を診てもらうようにしましょう。

熊谷市歯科医師会 髙橋 亮一(たかはし りょういち)

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