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腎臓移植

更新日:2023年9月1日

 腎臓の機能が何らかの病因で廃絶し、生命維持が困難となった状態が末期腎不全です。末期腎不全の治療法には、透析療法と腎移植の2種類があります。透析療法では、体内にたまった毒素と水分を体外に除去することは可能ですが、造血・骨代謝・血圧調整など腎臓の内分泌作用を補うことは困難です。また、血液透析では通常週3回透析施設へ通い、1回4時間程度の時間を要し生活の質を低下させています。
 
 腎臓移植(腎移植)は、透析療法による時間的な拘束が少なく、透析関連の合併症や食事制限などからも解放され日常生活の質が高くなります。移植手術は、移植者(レシピエント)の右下腹部に腎臓を移植します。腎臓についている動脈、静脈、尿管の3つをレシピエントの右下腹部にある腸骨(ちょうこつ)動静脈、膀胱(ぼうこう)に吻合(ふんごう)します。自身の腎臓は取り出さずそのままにします。日本の腎移植成績はとても優秀で、移植後5年間の生着率(移植した腎臓が機能し続ける確率)は90パーセント程度です。移植後は拒絶反応を抑えるため免疫抑制剤を毎日飲み続ける必要があります。これによる感染症や糖尿病、がんの発生には注意が必要です。

 腎移植は現在日本で年間約1800例行われています。提供者(ドナー)により生体腎移植と献腎(けんじん)移植の2種類があります。生体腎移植は、健康な親族から腎提供を受けるもので、その適応は慎重に検討されます。献腎移植は亡くなったかた(献体)から腎提供を受けるものです。日本では献腎移植がとても少なく、腎移植全体の8パーセント程度という状況です。透析患者さんは献腎移植登録を行うことができますが、献腎移植に当たるまでの期間は登録から約15年とされており献体ドナー不足が原因です。
 
 生体腎移植は6親等以内の血族、配偶者と3親等以内の姻族のかたがドナーに立候補できます。免疫抑制剤の進歩により血液型が異なっている方でも移植可能です。腎移植の費用は、健康保険、更生医療の申請で数万円程度にすることができます。
 
 腎不全患者さんご自身、また身近に透析患者さんがいる方々で腎臓移植についての説明を受けたことがないかたは多いと思います。かかりつけ医にこの記事を読んだと話すだけでも新しい治療の選択肢がひろがるかもしれません。

 熊谷市医師会 木下和也(きのした かずや)


 

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