お子さんによくある病気~熱性痙攣(けいれん)について~
更新日:2023年11月2日
乳幼児が高熱を出した際に起きる熱性痙攣は、日本人には比較的多く、約8パーセントのお子さんが起こします。発育途上の幼い脳神経細胞が、急激な体温の変化に弱いために起きるもので、熱性痙攣を起こしたお子さんの約30パーセントは、発熱するたびに繰り返したりしますが、成長に伴い5,6歳になるとほとんど起こさなくなります。
基本的な症状は、意識がなくなり、手足を突っ張らせたりガクガクと動かしたりします。目を見開いて焦点が合わなかったり、瞳が左右に偏ったりすることもあります。また呼吸が不十分になるため唇や全身の色が紫になることもあります。痙攣時に舌を噛むことはまずないので、何かを口に入れる必要はありません。痙攣に伴って、よだれが増えたり吐くこともあります。それらが喉の奥に入らないように横向きに寝かせるなどして様子をみてください。目の前で痙攣されると慌ててしまい長く感じるものですが、大概は2,3分で止まるので、病院に駆け込んだときには止まっていることがほとんどです。お子さんの状況を正確に伝えられるように、何分間くらいだったか、どんな動きだったか、特に手足の動き、瞳の位置などを見ておいてもらえると助かります。痙攣が長く続いたり、一日のうちに何度も繰り返したりする場合は、単純な熱性痙攣ではなく、何か他の痙攣を起こす病気がないか検査が必要になることがあります。
熱性痙攣の治療は、日本小児神経学会という学会から2015年にガイドラインが出て、予防のためのお薬を使うお子さんが限定されるようになりました。痙攣が収まるまでに15分以上かかるような長い発作を起こしたお子さんや、基礎疾患のあるお子さんなどは、発熱時に痙攣予防の座薬を使うよう指示されることがあります。その際、痙攣予防と解熱剤座薬をどんな順番で使うか迷う方がいますが、痙攣予防が先です。続けて解熱剤を入れるときは、30分以上たってから入れてください。お薬の性質上、入れる順番を逆にすると、痙攣予防の薬の吸収が悪くなってしまいます。余談ですが、これは吐き気止めの座薬と解熱剤座薬を使う場合も同様で、吐き気止めを先に入れてください。
熊谷市医師会 鈴木 由紀恵(すずき ゆきえ)