株式会社JST
更新日:2025年3月27日
株式会社JST
株式会社JSTは、今年創業73年を迎えた金属加工会社です。昭和45年にシャフト製造専業へと転換し、平成31年には旧秋山製作所から「J:じょうずに、S:シャフトを、T:つくる専門工場」という新たな社名に変更しました。
代表取締役社長の秋山哲也氏は、博士号(工学)を持つ技術者であり、(株)JSTは秋山社長のリーダーシップのもと、常に新たな加工技術や接合技術の開発に挑戦されています。「ミッション・ビジョン・バリュー(Mission:企業が社会に対して「なすべきこと」、Vision:企業・組織が目指す「あるべき姿」、Value:企業・組織の構成員が具体的に「やるべきこと」)を掲げて世界中のエンジニアに感動を届けることを我々のミッションとして、そのための行動指針をバリューとして“ごまかさない、諦めない”というふうに決めています。近未来の目標としてはビジョンとして2030年までに世界中のエンジニアから出会えて良かったと言われる存在になろうということで、日々やっています。」とお話しされました。
今回はその技術により世界最高水準の品質保証の製品が出来上がる工場を見学させていただきました。
秋山代表取締役社長と小林市長
素敵な看板でお出迎えいただきました。
シャフトとは?
シャフトとは、エンジン、モーター、ポンプなどの動力を伝える回転軸のことを指します。機械の動力を効率的に伝達するために不可欠な部品であり、その設計や製造には高い精度が求められるなど、高度な技術が求められます。シャフトの性能は、機械全体の効率や耐久性に直結します。
製品について
(株)JSTの製品は、大型トラックなどのエアコンプレッサーに使われるクランクシャフトや小型トラックのブレーキ補助用ポンプのシャフト、EVやハイブリッド用モーターのシャフト、自動ドアのドアモーター用のシャフトなど、自動車を中心として幅広く取り扱われています。
また、ダイキン工業(株)の子会社である(株)DK-Powerが手掛けるマイクロ水力発電の発電機用シャフトは全て(株)JSTが提供しています。こちらは、モーター部分はスチール、水にかかる部分はさびないステンレスと目的に応じて素材を使い分けて摩擦圧接により接合されています。
開発について
車の軽量化には優先順位があり、ドアやボンネットの軽量化は効果が限定的ですが、エンジンやその周辺部品を軽くすると、波及効果でフレームなど他の部品も軽量化が可能になります。エンジン部品を軽くすることは、全体の軽量化に大きな影響を与え、最も効率的とのお話をいただきました。そのため、(株)JSTでは丈夫さを保ちながらも1グラムでも軽くするため様々な開発を続けています。その一部をご紹介いただきました。
超軽量シャフト
中空構造の超軽量シャフトの断面モデルを観察
中空構造の超軽量シャフトは、電気自動車用モーターのシャフトを軽量化することを目的として、異なるパーツを継ぎ目なく、全ての部位の肉厚を均等に接合する独自の高度摩擦圧接技術で開発されました。通常は削り出しによって製造されますが、この技術によって、バランスや強度を保ちながら中を空洞にすることができ、大幅な軽量化を図ることができます。市長も手に持って「軽い。つなぎ目もどこか全然わからないね。」とその技術力に驚いていました。
一体型サイドプレート
上:ボルトで接合、下:一体型
一体型サイドプレートは、モーターの磁力を遮断するためのサイドプレートを軽量化するために開発された部品です。モーターの磁石は360度磁力を発生させるため、磁力を通さないアルミやステンレスで一部を覆う必要があります。シャフトがスチール製でアルミやステンレスとの相性が悪いため、多くのメーカーは、ボルトで固定して接合します。しかし、(株)JSTはプレスで押し広げることによって接合し、外側にアルミやステンレスを付けることを可能としました。これによって、サイズを小さくするとともに軽量化することもできます。市長は「目に見えないものが積み重なって一つの車ができるのだね。」と感心していました。
カーボンニュートラルへの取組
二酸化炭素削減に貢献できるよう取組を進めるため、パリ協定が求める水準と整合した、5から15年先を目標年として企業が設定する温室効果ガス排出削減目標であるSBT(Science Based Targets)認定を取得されています。
工場見学
(株)JSTの独自の高度摩擦圧接技術など様々な技術によりクランクシャフトやシャフトが製造される工場を見学させていただきました。こちらでは、人による作業のほかに全自動ロボットも使用されていました。
工場内には外国籍の従業員が多く在籍しており、異なる文化を持ちながらも、工夫しながら協力して作業されていました。秋山経理部長は「とても頑張っていて頼りにしています。」とお話しされていました。
製品の検査は、機械と人間によって行われており、特にベテランの検査担当者は、持つだけで些細な違和感に気が付くほどで、注意深くチェックしているそうです。
秋山社長は「車の部品は命に関わるものです。万が一のないように、念には念を入れた検査を行っています。」とおっしゃり、厳格な品質管理が行われていました。
摩擦圧接機械
秋山哲也代表取締役社長、秋山陽子経理部長、成田伸吾技術部長、小林麻理生産部長を始め、温かく迎え入れてくださった(株)JSTの皆様、本当にありがとうございました。
