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自律神経と痛み

更新日:2025年7月1日

 「自律神経」は「交感神経」と「副交感神経」の二種類あり、痛みなどを伝える神経と違い自覚できない神経です。
「交感神経」は痛みを含むストレスのかかる状況や緊急事態に際し緊張状態を維持する神経で、「副交感神経」は正常な体の機能を維持しようとする神経です。この二つの神経はシーソーのようにバランスを取り合いながら成立するもので、どちらかが強く反応するともう一方が弱く反応する仕組みになっています。「自律神経失調症」とはこの「交感神経」と「副交感神経」のバランスが崩れた状態を表現した言葉で、一般的には「交感神経」優位の状態が強く続いている場合に発症します。すなわち常に戦闘態勢に入っているため、疲労のみならず体に様々な反応が出てきます。
 人は何かしら痛みを感じると、その痛み刺激が脳に伝わり、脳は不快を感じるため「交感神経」が優位に立ちます。その際、血管が収縮し血流が悪化します。それと同時にあらゆる筋肉の緊張が高まり、血液の循環が悪化し、組織が酸素欠乏となり、新陳代謝が阻害されます。すなわち痛みは「交感神経」を優位にし、持続的な痛みはその痛みを増幅させる悪循環を形成することになります。

 このように痛みと「自律神経」は密接に関連しており、「自律神経」のバランスが乱れることで痛みが増幅されたり、逆に痛みが「自律神経」を乱したりする相互作用がありますが、痛みに限らず、ストレスなどの緊張状態も同じ状況になり、無意識の内に勝手に反応するため、気付くのが遅れ、自分の意志の力でコントロールすることが比較的難しいとされています。
 痛みの場合には治療が必要ですが、ストレスを含む「交感神経」優位な状態から脱するには「副交感神経」を優位にすればいいわけで、「副交感神経」が活性化すると痛みやストレスの緩和に役立ちます。すなわち「自律神経」のバランスを整えることが日常生活でのあらゆる不快感からの脱出に有効ですが、そのために普段からできることは、規則正しい生活リズムを保ち、バランスのよい食事を摂り、適度な運動、十分な睡眠を心がけ、リラックスする習慣を作ることが大切です。
                熊谷市医師会 堀口 勇(ほりぐち いさむ)

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