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漢方・春の養生法

更新日:2025年4月1日

 漢方の古書『素問そもん』には、人間が健康に生きていくために一番大切なことは「自然との調和」であると記されており、自然と人間との調和を第一とする「天人合一てんじんごういつ」といわれる考え方に基づき、四季の養生法を示してあります。
 「春の養生法」については次のように書かれています。
 『春の3か月を発陳はっちんという。天地間の万物が生き生きとして躍動する。夜更かしはせず朝は早く起きて天地の陽気を多く取り入れ、体の陽の気が伸びるよう、長めに散歩するとよい。髪は強く束ねず着物もゆったりとする。生き物を殺したりせず、生命を奪うことはしない。ほめることを心掛けて罰したりしない。これらに逆らうと、肝気を損傷し、夏に必要な火の気を減少させ、寒性の病を生じる。』
 春は冬の間しまい込んでいたすべてのものがのびのびと生命力豊かに動き始める時期、木の芽立ち時で陽気が上昇する時期です。夏に健康であるためにも、春からの養生が肝心です。
 漢方には、自然界と人体の生理を結び付けている「天人相応てんじんそうおう」という考え方もあり、その視点からいうと、春に最も影響を受けやすいのは「肝」です。
 漢方でいう「肝」は肝臓という臓器の働きだけを指すのではなく、「血液を貯蔵・血流量を調節する」「気の流れを整えておく」という、二つの大きな働きがあります。筋肉・目・爪ともかかわりがあり、涙を生ずる働きもあります。
 肝血が十分濡養じゅようされていて、気の巡りも整っていれば、体のすみずみに栄養がいきわたり、体の機能が正常に働き、心身ともに元気でいられます。

 しかし、肝の機能が妨げられると筋肉が痙攣けいれんしたり、爪や目の不調が表れたり、イライラ、怒りっぽい、めまい、不眠、不安感、生理不順、などの様々な症状が現れてきます。
 春は肝が影響を受けやすく、ストレスによる心と体の不調が起きやすくなります。春は入学式や入社式、人事異動などの環境の変化もありますからなおさらです。
 『素問』には自然と調和を続け、よく養生すると人の寿命は100歳を超えるとも記されています。春の養生法を参考に、のびのびと・ゆったりとした気分でいるように心掛け、うららかな春を元気にお過ごしください。

熊谷薬剤師会  川島 恵司(かわしま けいじ)

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