平成27年8月 都市建設常任委員会(神奈川県 水道事業「かながわ方式」によるまちづくり、静岡県静岡市 道路情報リアルタイム発信によるまちづくり、静岡県焼津市 交差点改良によるまちづくり)
更新日:2015年10月22日
都市建設常任委員会では、8月18日・19日の2日間にわたり行政視察を行いました。
参加者
委員長 黒澤三千夫 副委員長 小島正泰
委員 鈴木理裕、松本貢市郎、三浦和一、松岡兵衛、大久保照夫
8月18日午前 神奈川県
神奈川県企業局では、海外展開を目指す国内企業を支援することを主な目的とし、営業地区の一部である箱根町北部における水道事業の包括委託を開始しました。
日本では、水道法により、水道事業は公営が原則となっているため、民間企業が実績やノウハウを高める機会が少なく、海外の水ビジネスに参入しにくい要因となっています。この箱根地区の包括的業務委託は、民間企業の水道事業の実績づくりやノウハウ習得を支援する内容となっています。
また、人口の減少、節水型設備の普及等により、水道使用量の減少に伴う料金収入への影響や、職員の大量退職による技術・ノウハウの継承といった課題に対しても、解決策となりうるものです。
委託の期間は、平成26年度から30年度までの5年間とし、委託内容は、管理業務、運営業務、施設関連業務や危機管理業務など幅広い事業に及んでおり、公募型プロポーザル方式で事業者を選定しています。
包括委託以前から人員削減を進めていたため、経費削減効果は出にくい状況ですが、受託企業が、直接、工事の発注等を行うため、その部分での経費削減効果も見込めるとのことでした。
8月18日午後 静岡県静岡市
静岡市は、東日本大震災や台風による土砂崩れの経験から、被害場所、危険箇所など現地情報をすばやく収集・共有できるシステム構築の重要性を実感する中、大規模災害時でも利用可能であり、多くの人の閲覧にも耐えうること等を条件として検討した結果、クラウド型GISを採用し、規制情報等をインターネット上で即時発信できる道路情報発信システム「しずみちinfo」のサービスを開始しました。
これは、道路規制情報の発信だけでなく、災害情報等の収集・管理にも利用することが可能であり、現場に移動した職員がタブレットで写真を撮り、自動で位置情報を取得、システム内に入力、即時に反映することができるなど、情報の収集・管理・発信を効率的に行うことができるすばらしいシステムでした。
今後も、市民や企業から意見や知恵を募り、新たな機能を追加していく予定とのことであり、より使いやすいシステムとなることが期待されています。
8月19日 静岡県焼津市
焼津市では、郊外の関方地区山の手地内にラウンドアバウト(環状交差点)を整備しています。ここは、交通量はそれほどでもないものの、交通事故が多発することから、信号機の設置要望を行っておりましたが、設置の見通しが立たない状況でした。
そこで、平成26年1月から社会実験としてラウンドアバウトを整備し、運用を開始。平成26年7月の道路交通法の改正に伴い、正式運用となりました。
ラウンドアバウトの特徴としては、交差点内での車両の交錯ポイントが少ないことや、環道に進入する際に減速が必要となるなど、速度抑止にも効果があり、重大な事故の減少が期待されます。また、災害等による停電時でも安全に機能することなど、多くの利点が認められています。
しかし、交通量が多い交差点や歩行者が多い交差点で導入した場合、流れが滞りやすくなるなど、設置に向かない場合もあるとの説明も受けました。
焼津市では、「焼津市ラウンドアバウト研究会」を設置し、市内交差点の新たな導入の可能性を検討しているほか、全国にラウンドアバウト導入の輪を広げていくことを目的とした「ラウンドアバウト普及促進協議会」を設立し、情報交換や情報発信を行っているとのことでした。
現地の視察においては、通常の交差点よりも多くの用地が必要となるなど、現地でしかわからない難しさも実感しました。
