1 熊谷UDブロック製作の経緯
更新日:2014年8月25日
「歩車道の段差2cm」の解消へ
熊谷市交通バリアフリー基本構想に基づいた取組みの1つに熊谷UDブロックがあります。基本構想策定時に実施したバリアフリー点検において、高齢者や身体障害者の協力で課題を抽出した結果、数多く挙げられた声として「歩車道の段差2cm」がありました。車いす利用者にとって道路を横断する際、車道から歩道へ上がる段差2cmが通行の大きな障害になります。交通バリアフリー法において、『横断歩道に接続する歩道の縁端の段差は、2cmを標準とする』とありますが、車いす利用者にとっては、たった2cmの段差が移動の大きな負担となっています。しかしながら、車いす利用者にとっては障害でも、視覚障害者にとっては、歩車道を判別する重要な情報です。この相反する利害に対し、他地区の先進事例を研究しながら、本市の状況に合った段差解消ブロックへの取組みが始まりました。
車椅子利用者と視覚障害者の意見を取り入れて
まず横断歩道接続部の段差解消実験として、車いすの前輪がスムーズに乗るように、既存の縁石にスロープ状の溝を造り、車いす利用者の協力を得て何度も検討を重ね、その効果について検証を行いました。その結果、更なる工夫が求められたものの、溝つきブロックの可能性が確認されました。その後、利用者の意見を取り入れながら模型の作成や現道での実験を重ね、車いす利用者に必要な平坦性と視覚障害者に必要な歩車道の判別性を兼ね備えた製品が考案されました。この製品は、車いすのタイヤが通る部分にスロープ状の溝を2箇所設け、段差0cmと段差2cmを1つにした形状のものです。この溝の寸法は、視覚障害者が持つ白杖の振り幅と、車いすの前後輪の車幅、そして実験に携わった方々の意見や検証結果を基に決定しました。