染色業者から厚い信仰を受けた愛染明王
市内下川上にある宝乗院愛染堂には、愛染明王が祀られています。この愛染明王像は、平安時代末期に、星川で洪水があった際に、当地に流れ着いたという逸話が残されています。また日本一木三体像の一つであるとの言い伝えもあります。一木三体の像とは、一本の木から造り出された三体の仏像のことです。他の二体は、それぞれ陸奥国と筑紫国にあるといわれていますが、その有り処は不明です。
「愛の仏」として、愛染明王は恋愛成就や縁結びを願う多くの人に信仰され、江戸時代には遠く江戸からも参拝する人が訪れてにぎわったようです。また愛染は「藍染」に通じることから、関東一円の染色業者から厚い信仰を集めました。堂内には、染色業者から奉納された絵馬などが残されています。
愛染明王は、1988年11月3日に熊谷市の有形民俗文化財に指定されています。