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スポーツ精神医学について

更新日:2019年9月1日



 精神医学にはいくつかの専門領域がありますが、皆さんは「スポーツ精神医学」について耳にしたことがありますか?ご存じのとおり、9月から熊谷市をはじめ国内12都市でラグビーワールドカップ2019(TM)が開催されます。そして、来年には東京オリンピック・パラリンピックがあります。スポーツへの関心がますます高まっている中で、今回は「スポーツ精神医学」について紹介したいと思います。

 スポーツ精神医学はこれまで主に米国で発展してきました。すでに1920年代から「心理学」をスポーツに応用しようとする試みがありましたが、精神医学がスポーツに関与するようになったのは1970年代になってからです。1980年代には運動の精神面への効果の検証が発表されるようになり、1990年代にはうつ病に対する運動の効果を示す臨床研究が報告されています。2000年代に入ると、認知症に対する運動療法の効果に関する研究が報告されるようになりました。認知症予備群である軽度認知障害(mild cognitive impairment: MCI)の初期段階で運動介入を行うことで、アルツハイマー型認知症への進行を遅らせられる可能性があるとの研究結果も示されています。従来からジョギングや水泳などの有酸素運動が認知症に対して効果があると報告されていますが、筋トレやストレッチなどの有酸素運動以外の運動を組み合わせても効果があるとの報告もあります。

 精神科における治療は、薬物療法・精神療法・社会的治療などを組み合わせて行いますが、運動の精神面への効果に関する研究が今後進めば、これらの治療法とともに運動療法がより一層重要な役割を持つことになるでしょう。様々な精神疾患がある中で、どの疾患にどのような運動療法が効果を示すのか、いまだ十分にデータが蓄積されていませんが、精神と身体の両面を考慮した適切な運動の種類や強度について明らかになってくれば、そう遠くない将来、薬の処方とともに個々の患者さんに合った運動療法の処方が行われるでしょう。

 日本では、2003年に「日本スポーツ精神医学会」が設立されました。スポーツ医学は様々な疾患の予防、治療やリハビリテーション、一般人の健康の維持・増進に大きな役割を果たしてきていますが、今後スポーツが「こころの問題」にも目を向けることが必要になってくるのではないでしょうか。

熊谷市医師会 石川 高明

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