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大腿骨頸部骨折と大腿骨転子部骨折

更新日:2022年3月1日

大腿(たい)骨頸(けい)部骨折と大腿骨転子部骨折
大腿骨頸部骨折と大腿骨転子部骨折は大腿骨(太ももの骨)の骨折で、いずれも高齢女性に好発する骨折です。高齢になると骨粗しょう症となり若いときと比べて骨がもろくなり、体力もなくなり、転倒しやすくなります。65 歳以上の日本人女性の 45 パーセントが骨粗しょう症で、65 才以上になると 20 パーセント程度の人が1 年間に1回以上転倒し、 転倒すると 1.5~3 パーセント程度が大腿骨頸部骨折、大腿骨転子部骨折を来します。

治療は、手術が望ましいと判断することがほとんどです。高齢者が、骨折のため寝込んでいると合併症が出現し、骨粗しょう症、筋力低下、バランス感覚低下が急速に進行します。そのため早期に手術を行います。

大腿骨頸部骨折に対し、ずれの少ないときは骨をくっつける骨接合術を行います。ずれが大きいときは人工骨頭置換術(活動性の高い方は人工股関節置換術)を行います。大腿骨骨頭は回旋動脈という細い動脈から血液を受けています。頸部骨折を起こすと、この動脈が損傷を受け、骨頭に血が流れなくなり、骨頭の壊死(えし)を起こして骨頭が潰れてしまいます。そのため骨をくっつけるのは諦め、骨頭を切除して、人工の骨頭で置き換える人工骨 頭置換術を行います。

一方、大腿骨転子部骨折は回旋動脈が損傷されることはほとんどなく、骨頭壊死になり にくいため骨接合術を行います。手術後は、通常翌日からベッドを起こし、座位、起立、 歩行を目指した訓練を行います。手術後の合併症としては出血、感染、肺梗塞(エコノミ ー症候群)、肺炎、尿路感染症、床ずれ、せん妄、骨頭壊死、偽関節などがあります。高齢で予備能力が小さいことが多く、命に関わる可能性があることも事実です。また、受傷前 に屋外活動を―人で行うことが可能であった患者さんでも、1 年後に元どおりに近い歩行 ができるのは、全体の 50 パーセント程度です。
骨折の予防が大事です。骨粗しょう症に対しては食事療法、散歩や踵(かかと)落としなどの運動療法、日光浴、薬物治療が必要です。転倒予防に対しては食事療法、運動療法、家屋の段差をなくす、床に物を置かないなどの注意が必要です。

熊谷市医師会 太田 秀幸(おおた ひでゆき)

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