生理は女性の健康のバロメータ
更新日:2021年9月1日
昔の女性は約50回で、現代の女性は約450回。これは一生涯の生理回数の比較で、出産回数の多い、少ないに直結していて、時代によってこれだけの違いがあります。
また、以前は生理のことは、決して表舞台には現れず、隠しごと、ヒソヒソ話として語られることでした。それがどうでしょう。現在では白昼堂々と“生理について”語られるようになりました。
「生理」という女性にとって重要な健康について話し合うことは、“親と子”“職場内での男女”“男と女(恋人同士・夫婦間)”が、相手の心と身体のことを理解しあい、助け合い、尊敬しあえるということにもつながっていく、とても大切なことです。
その一方で、出産回数が減って生理の回数と期間が増えたことで注目されるようになった病気があります。「月経困難症」と「子宮内膜症」です。
「月経困難症」は、主に身体と心の2つの症状に分かれます。身体症状としては強い生理痛や腰痛が現れ、痛み止めがあまり効きません。心の症状としては、イライラや落ち込み、うつ的症状、不登校、ひきこもり、リストカットなどがあります。
さらには、そうしたつらい状況にあっても、母親から「生理ぐらいで医者にかかるなんて」「生理は我慢」と言われ、生理に伴う不調を治す治療や方法があるのに、なかなか医療にアクセスさせてもらえない娘さんたちがいます。このような状況は婦人科医の間では「ママブロック」と呼ばれ、母と娘で「生理」についてもっと話し合えるようになってほしいと切に願っています。
もう一つ「子宮内膜症」は、原因が不明で、元来、子宮内膜にあるべき組織が子宮以外の場所に飛び火(転移)して、子宮以外の場所に生理を起こさせる、そんなやっかいな病気です。特徴は、“疼痛(とうつう)と不妊”が2大症状で、生理を繰り返していくうちに痛みがどんどん増強します。そのほかにも、募る骨盤内の痛みや性交痛、排便痛があり、女性にとってはまったく迷惑な病気です。
私たち婦人科医は、あなたの一生をサポートし続けるあなたのライフパートナーです。エールを送ります。あなたの心と身体、あなたの人生は自分で守りましょう!
熊谷市医師会 中山 政美(なかやま まさよし)
