高齢者と難聴に対する補聴器について
更新日:2021年7月1日
年々高齢化の割合が増え、加齢に伴い聞こえが悪く(難聴)なってきます。人間の機能の中で一番老化が早いのは耳の聞こえだといわれています。難聴によるコミュニケーションの障害が生じ、人との会話が聞きとりにくいため対話がしづらくなり、自然と他人との接触がおっくうになり少なくなってきてしまいます。高齢による難聴に対して改善する治療法は現在のところありません。老人性難聴に対する最も有効な対策は、補聴器を用いて人との対話を聞きやすくすることです。
難聴を感じたら、まず耳鼻咽喉科を受診して、診察を受け耳の中の状態を調べ悪い箇所がある場合は治療を受けてください。聴力検査をして難聴の程度を調べ補聴器の適応を判定してから、認定補聴器技能者がいる良心的な販売店を紹介してもらい購入してください。購入した補聴器の使用者の聴力管理は、耳鼻咽喉科医の重要な役割です。定期的に耳の中を観察して聴力検査をして耳の悪化がないか調べることが大切だからです。直接、補聴器販売店に行き購入することはやめましょう。
補聴器は、マイク・増幅器・イヤホンの部分からできています。ポケット式・耳掛け式・耳穴式があります。最近の補聴器はデジタル補聴器が主流で、一人ひとりのご要望に合わせて細やかな調整ができます。ただ価格が高いのが欠点で耳掛け式・耳穴式の補聴器は片耳10~30万円ほどします。価格の関係で欲しいのだけど購入することをやめてしまう患者さんもいらっしゃいます。普及させるためには価格を下げることが必要だと思いますが、コマーシャルでやっている1~2万円の補聴器といわれているものは音声拡大器で増幅器の部分が補聴器と違い、いろいろな機能が少なくあまりお勧めできません。
高齢になり難聴に気付きましたら、まず耳鼻咽喉科医の診察を受けて、必要でしたら補聴器を装着して、いろいろな人と会話して快適な老後を楽しんでください。
熊谷市医師会 中島 正臣(なかじま まさとみ)
